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無数の穴や突起の集まりが怖い「トライポフォビア」は恐怖症ではない。ただの嫌悪感であるとする最新研究 (カラパイア関連情報)

先日カラパイアに以下のような記事が掲載されました。出典を含めた詳細が少なかったので,関連情報をまとめました。カラパイアさんがすぐに対応してくださり,元の記事からリンクして下さいました。ありがとうございます。

http://karapaia.com/archives/52252100.html

トライポフォビア(集合体恐怖症)に関する追加情報:

・Cole, G. G., & Wilkins, A. J. (2013). Fear of Holes. Psychological Science24(10), 1–6.

Cole & Wilkins (2013)は蓮の実の画像を見せてそれが不快と感じるかどうかという調査を行っています。その上で,91名の男性中10名,195名の女性中36名が不快に感じることを報告しています。

 

なぜトライポフォビアは起こるのか?これまでの仮説:

・Cole, G. G., & Wilkins, A. J. (2013). Fear of Holes. Psychological Science24(10), 1–6.

Cole & Wilkins (2013)は特に画像がもつスペクトラム特性に注目し,トライポフォビアを説明しています。フーリエ変換という画像の分析を行い,毒性生物の画像が持つスペクトラム特性とトライポフォビアを引き起こす画像の特性が類似していることを報告しました。

・Le, A. T. D., Cole, G. G., & Wilkins, A. J. (2015). Assessment of trypophobia and an analysis of its visual precipitation. The Quarterly Journal of Experimental Psychology, 68(11), 2304–2322.

Cole & Wilkins (2013)の後に報告されたLe, Cole, & Wilkins (2015) では,トライポフォビア特有のスペクトラム特性はトライポフォビア生起の十分条件でないことも主張しています。

恐怖による反応ではなく嫌悪感による反応であるとする研究結果:

・Ayzenberg, V., Hickey, M. R., & Lourenco, S. F. (2018). Pupillometry reveals the physiological underpinnings of the aversion to holes. PeerJ, 6, e4185. https://doi.org/10.7717/peerj.4185

・Imaizumi, S., Furuno, M., Hibino, H., & Koyama, S. (2016). Trypophobia is predicted by disgust sensitivity, empathic traits, and visual discomfort. SpringerPlus, 5(1), 1449. https://doi.org/10.1186/s40064-016-3149-6

今回の論文(Ayzenberg, Hickey, & Lourenco, 2018)では,トライポフォビア喚起画像を見るときに(私たちが意図的に操作できない)自動的な処理に嫌悪の反応がみられたことを報告しています。嫌悪との関連性はこれまでも指摘されてきましたが(Imaizumi, Furuno, Hibino, & Koyama, 2016; 引用文献は上記参照),私たちの潜在的な反応にも嫌悪刺激に対するそれと類似した反応が見られたことを示した興味深い研究であると感じました。